課長風月

疲れたサラリーマンの憩いのひと時

儒教のかたち こころの鑑 日本美術に見る儒教

今日は「儒教のかたち こころの鑑 日本美術に見る儒教」へ。サントリー美術館に行くのは初めてで、六本木の東京ミッドタウン「ガレリア」の3Fにある。撮影不可。

仏教美術の展覧会はよくやっているが、儒教にスポットをあてた展覧会というのは初めて観た。美術品としては、正直ちょっと地味というか、美しいものを見たなという満足感はあまりなかったのだが、儒教が日本でどのように受容されていったか、歴史的な興味として面白かった。以下、いくつか印象に残ったものをメモ的に残しておく。

「勧戒画」というジャンル

儒教は、天皇や将軍などの為政者にとって、善政とは何かを学ぶための学問であった。勧善懲悪を勧める絵画を「勧戒画」と呼ぶそうだ。「勧戒画」にもいくつか種類があり、32人の中国古代の賢臣を描く「賢聖障子」、親孝行な24人を描く「二十四孝図」、古代中国皇帝の善行、悪行を描く「帝鑑図説」などがあるそうだ。

老莱子

「二十四孝図」の一つに、老莱子という春秋時代の思想家のエピソードがある。孝行息子である老莱子が、老いた両親が老いを悲しまないよう、子供みたいな振る舞いをするというのだが・・・老莱子自身も結構な年で、サイズの合わない赤い服を身に着け、手にでんでん太鼓みたいなおもちゃをもってはしゃぐ様は、異様と言わざるを得ない。昔の人との感覚の違いが感じられて面白い。

bijutsutecho.com

負文亀(ふみおうかめ)

負文亀は、兎王が洪水を治めた時に洛水から現れたという神亀だそうだ。背中に9つの模様があるとのこと。紫宸殿内の玉座の背後にある障子に、先に書いた「賢聖障子」と一緒に描かれるものらしい。住吉広行の手によるというこちらの亀は、踏ん張る手足に迫力があるものの、顔はちょっとかわいいく魅力的だ。

images.dnpartcom.jp

横蔵と慈悲蔵

二十四孝には、病気の母のために冬に筍を取りに行く孟宗の割と有名なエピソードがあるが、「本朝二十四孝」という浄瑠璃・歌舞伎の演目に、これを下敷きに作られた場面があり、孝行息子の弟・慈悲蔵が母のために筍を取りに行ったところ、横道者の兄・横蔵と筍をめぐって兄弟げんかが起こる。そのシーンを絵にしたものがこちらの作品。慈悲蔵という、なんとも直接的なネーミングが印象的。どっちが横蔵で、どっちが慈悲蔵かも、絵を見ただけでなんとなくわかる。

ja.ukiyo-e.org

他にも面白いものはたくさんあったが、ひとまずこれくらいにしておく。

儒教と聞くと、少々堅苦しいイメージを持っていたが、展示された作品群は以外とユーモラス。こういった美術品が儒教的価値観の浸透に役立っていたんだろうな。