六本木の泉屋博古館にて、「オタケ・インパクト ― 越堂・竹波・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム」を観てきた。撮影不可。

尾竹三兄弟は、明治から昭和初期に活躍した、新潟出身の日本画家。
富山の売薬版画などの商業美術を生活の糧としつつ腕を磨き、後に兄弟そろって文展で華々しく活躍する。
ただ、三兄弟ともに反骨精神の旺盛な人だったようで、特に竹波は国画玉成会で審査員の人選をめぐって岡倉 覚三(天心)とぶつかったり、文展に規格を外れた大きな作品を送り込んで顰蹙を買ったり、文展行政への不満から衆議院議員に立候補して落選したりと、当時の画壇で度々悶着を起こしていたようだ。
これは展覧会での評価の公平性、つまり審査員のえこひいきに異を唱える意図だったらしい。当時文展はかなりの権威を持っており、出展できるかどうかが若手の画家にとって死活問題であったようだ。
図録の帯にある「美術史からこぼれ落ちた日本画家」とは、こういった経緯もあって後年、展覧会での活躍の場を徐々に失っていったことを指すようだ。
ちなみに図録には3兄弟で撮ったヌード写真なんかも乗っており、これを見るとやはりちょっと過激な人たちだったんだろうな、天才芸術家はちょっと違うなぁ、などと凡人らしい感想を持った。
さて、絵の方はいくつか好きな作品があったのでピックアップする。
一番は尾竹国観の「巴」。
#オタケインパクト 学芸員のおすす眼⑪ 尾竹国観《巴》
— 泉屋博古館東京(せんおくはくこかんとうきょう) (@SenOkuTokyo) 2024年12月7日
巴御前は平安時代末期の源義仲の側室で、武勇に優れた女性として知られています。ひとりで千人の兵にも匹敵するほどの武将だったとされる巴ですが、本作はまさに戦支度の最中を描いています。 pic.twitter.com/rzgmgLkkmR
木曽義仲の正妻にして、女武者である巴御前を描いたもの。ちょうど吉川英治の新・平家物語を読んでいたのでタイムリーだったこともある。通常、この時代の高貴な女性は十二単なんかを着ているのだろうけど、巴御前は武装を女房に手伝わせていたのだろうか。流し目の先は何があるのかな、など想像するのも楽しい。
次に、尾竹竹波の「梧桐」
www.asahi.com梧桐とは、中国原産の樹木で、樹肌が青緑色をしているのだとか。幹から葉っぱまですべて青緑色で一見単調に見えつつも、一枚一枚異なる濃淡で描きわけられ、長く見ていても飽きない。
あと、同じ竹波の「南国風物」という作品も良かった。これはネットで写真が見つからない。印象的なピンクの花と緑を背景に、農作業をしていると思われる男女と馬二匹が描かれる。個性的な色使いだが、のどかさが伝わってくる。
ひとまずここまで。国観を中心として歴史画が結構多く、自分的にも好きな展覧会だった。