課長風月

疲れたサラリーマンの憩いのひと時

読書「地雷グリコ」青崎有吾

初読みの青崎有吾さん。四大ミステリ・ランキング完全制覇の話題作なので読んでみた。一言でいうと、痺れました。

 

※以下ネタバレまでは行きませんが内容には触れますので未読の方はご注意下さい。

 

高校生によるゲームバトル小説。主役は都立・頬白高校一年のちゃらんぽらん系女子にして天才勝負師・射守屋真兎(いもりや・まと)。彼女が挑むのは誰でも知っているゲームに少しルールを足しもの。グリコ、坊主めくり、じゃんけん、だるまさんがころんだ、ポーカー。運任せの子供の遊びが、ちょっとしたルール追加により高度な読み合いを要求される頭脳戦に変貌する。

 

読み始めてすぐ、漫画的な小説だなと感じた(いい意味で言っているつもり)。妙な名前(射守屋とか、雨季田とか)。特徴的なキャラクター。短い言葉でテンポ良くとぼけた会話の応酬。コマとセリフが浮かんでくるようだ。私は新鮮に感じたが、もしかすると若い世代の小説では珍しくないのだろうか。

 

本書の最大の見どころは、なんといっても逆転シーン。直前まで勝ちを確信していた人物が、次の一行で奈落に突き落とされる驚愕の一瞬。ここもやっぱり漫画的な場面が思い浮かぶ。きっと次ページ見開きで「!!!」って感じなんだろうな。この感覚を味わえる小説は少ないと思う。

 

緻密な対戦者同士の腹の探り合い、騙しあいもおそらく読みどころなのだろうが、複雑すぎて、私の中年脳はあっさり白旗を挙げ斜め読み。図を描きながら丁寧に二度読みすれば理解できるかもしれない。(が、おそらくやらない)

 

勝負は真剣だけど、終わったら敵も味方も禍根を残さず和気あいあいなのもいいところ。カイジみたいに人間の醜さを見せつけられる、みたいな展開はないので、楽しかったで本を閉じられる。

 

読んだ後で何か得られるとか、人生観が変わるとか、そういった類の小説ではないと思うが、逆転シーンの鮮烈さは記憶に残る。青崎有吾さんの他の作品も読んでみたい。