英国カンブリア州を舞台とする警察ミステリー、ワシントン・ポーシリーズの二作目。冒頭から即座に引き込まれ、そこから最後までずっと面白く、いつの間にか読み終わってしまう。そんな小説であった。
※決定的なネタバレはしませんが、内容には触れるので未読の方はご注意ください
六年前に三ツ星レストラン「バラス&スロー」で発生したエリザベス・キートン殺人事件。当時ポーが逮捕したのは被害者の父親である天才シェフ、ジャレド・キートンだったが、今になって生きたエリザベスが発見され、DNA鑑定でも本人と確認される。この事件は果たして冤罪だったのか?キートン釈放まで時間がない中、ポーとブラッドショーの必死の捜査が行われる。
前作「ストーン・サークルの殺人」の冒頭では、誘拐事件の父親に犯人の情報を流したことで警察組織から白い目で見られていたポーだったが、本作はまた誤認逮捕の疑いをかけられて白い目で見られている。ワシントン・ポーは、逆風が似合う男なのである笑。
しかし、本作はまた前作とは違った意味で緊迫感がある。それは、ポーが六年前に逮捕したジャレド・キートンという男が、何をしてくるかわからないサイコパスなのである。料理の腕前が天才的なだけでなく、頭がよく、人を惹きつけて操る才能がある。それでいて共感力が欠如しており、他人を残酷な目にあわせることに躊躇がない。そんなやつが出所してしまったら?どんな復讐を企ててくるのかわからない。これは結構な恐怖である。犯人はキートンとしか思えない。しかし証拠はすべて冤罪を示している。何かトリックを使ったのか?それとも本当に冤罪なのか?
読み終わって振り返えると、本書はとても構造はシンプルだ。キートンがやったのか?やっていないのか?やったとしたら、どうやってやったのか?その疑問への興味に、上の緊迫感の味付けで600ページぐいぐい読まされてしまうのである。まあ、正直この面白さなら何ページあっても延々と読み続けていられる気がする。おかずが最高なら、ご飯は何杯でもいける、みたいな。
正直、事件の真相については若干緻密さに欠ける部分、いわゆる突っ込みどころもなくはないのだが、本書はパズル的な美しさが魅力の作品ではないのであまり気にしないことにしている。ポーやブラッドショー、フリンと一緒に捜査の臨場感を味わいながら流れに身を任せる。そして結末に辿り着いたら、あー面白かったと満足して本を閉じる。そんな作品だと思う。
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