課長風月

疲れたサラリーマンの憩いのひと時

読書「キュレーターの殺人」M・W・クレイヴン

最近すっかり夢中になっているワシントン・ポーシリーズの3作目。本作も読みだしたら止まらない面白さであった。

 

※核心のネタバレはしませんが内容には触れますので未読の方はご注意ください。

 

クリスマスの夜。運送会社のプレゼント交換。教会の洗礼盤。精肉店の調理カウンター。一見つながりのない三カ所で、切断された二本の指が発見される。指は一人のものではなく、別の三人から切り落とされたものと判明。生前と死後に1本ずつ切られていることから、この事件が殺人であることを示唆していた。被害者は性別も、社会階層もバラバラで共通項があるようには見えないが、全ての犯行現場には#BSC6という謎のメッセージが残されていた。

 

本作でのポーは、元部下・現上司であるステファニー・フリン警部のベビーシャワーに出席しているシーンから始まる。ベビーシャワーなるものをよく知らなかったが、出産を控えた妊婦さんを囲むパーティーとのこと。欧米では一般的らしい。どう考えてもポーには似合わないイベントだが、このミスマッチをついて早速笑わせてくる。一作目は謹慎中、二作目は殺人罪で逮捕されるところから始まっていたので、今回のポーは割と穏やかな境遇にいることがわかる。

 

そして、今回は仕事をする上での上層部にも恵まれている。捜査の指揮をとるカンブリア州警視のジョー・ナイチンゲールは道理のわかる人である。正攻法の捜査を抜かりなくやりつつ、一方で正攻法以外で真相に近づく、ポーのやり方も必要だと認め、協力を依頼するのである。

わからずやの上層部を無視して傍若無人に操作を進めるポーの姿に爽快感を覚えるのがこのシリーズの特徴かと思っていたが、今回はこのやり口を作者自ら封印しているように思える。

 

そのかわり、今回は事件の不可解さと謎解きの面白さで読ませている。ブラッドショーが鮮やかに解いてみせるその手法は、専門的ながら興味をそそるもので、感心してしまう。そして、ポーのひらめきも冴えている。ポーのちょっとした気づきとともに、事件の見え方が逆転するこの感覚。まさにミステリーの醍醐味である。ラストはまさに、え?そこなの?というもの。

 

完成度は、これまでで一番じゃないだろうか。面白かった。

 

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