課長風月

疲れたサラリーマンの憩いのひと時

読書「アンデッドガール・マーダーファルス2」青崎有吾

青崎有吾さんの怪物ミステリー二作目。面白かった~。

 

※決定的なネタバレはしませんが、内容には触れるので未読の方はご注意ください。

十九世紀末のロンドン、八十日間世界一周を成し遂げた男、フィリアス・フォッグの邸に怪盗アルセーヌ・ルパンから予告状が届いた。狙われたのは〈最後から二番目の夜〉という八十カラットのブラックダイヤ。ルパンを捕まえるために呼ばれたのは、二人の探偵。一人はロンドン一の探偵・シャーロックホームズ。そしてもう一人は、怪物専門探偵・輪堂鴉夜。保険機構ロイズのエージェントに、百人の警備員も加えた万全の備えの中、ルパンはどうやってダイヤを盗むつもりなのか?ロンドン中の注目を集めた大騒ぎの中、怪盗と二人の探偵による知恵比べが始まった。

 

名作の主人公をこれでもかとばかりに詰め込んだ本作は、おもちゃ箱をひっくり返したような(という表現を最近耳にすることも少なくなった気がするが)、とにかく楽しい作品である。

 

ホームズの相棒といえばご存じジョン・H・ワトソンに決まっているけど、ルパンが相棒に選んだのはなぜか「オペラ座の怪人」。そこに、本作の主人公たちである「鳥籠使い」の一派、900歳の生首少女・輪堂鴉夜と、エセ噺家の半人半鬼・真打津軽、寡黙なメイド・馳井静句が愉快に絡んでゆく。さらに新キャラである保険機構ロイズのエージェントたちや、前巻最後に出てきたホームズの宿敵・モリアーティ教授とその一派も出てきて、もはやキャラの飽和状態。これをいったいどう収集つけるの?という感じである。

 

しかし、さすがは天才・青崎有吾さん。登場人物たちそれぞれがうまく際立つように、さまざまな組み合わせで交流(または対決)させるのである。例えば怪盗「紳士」であるルパンがメイドである静句にやけに優しかったり、ホームズと輪堂鴉夜が探偵同士で張り合ったり、なぜかワトソンが鴉夜の鳥籠を運んでくれたりする。名作キャラと、本書のオリジナルキャラたちが組み合わさって面白さの相乗効果を生んでいるように思った。

 

もちろん、ミステリー要素も存分に楽しめた。ルパンはわざわざ予告状を出したがために、超厳重な警備を敷かれ、邸の外はマスコミだらけ。こんな中で盗み出すなんて絶対不可能なのに、なぜか余裕たっぷり。いったいどんな仕掛けで盗むつもりだろう?というワクワク感で物語を引っ張っていく。もちろん、ホームズの鮮やかな推理も見せ場たっぷりである。

 

そして、本書の最大の見どころは、鮮やかな逆転劇である。詳しいことは書かないけれど、青崎さんの最近の傑作「地雷グリコ」を思わせる痛快な逆転劇が見られる。本書は地雷グリコより七年も前の作品だが、すでにこのころから片鱗があったのだなぁと感心したのである。

 

ということで、前巻からさらにパワーアップした感のある第二巻。どこを切り取っても楽しい要素しかない、最強の娯楽作だと思う。第三巻も楽しみです。

 

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