課長風月

疲れたサラリーマンの憩いのひと時

読書「十角館の殺人」綾辻行人

日本の本格ミステリーの定番中の定番は、やはり評判通りの名作なのであった。痺れたなぁ。

 

綾辻行人さんの館シリーズは、高校生くらいのころに「十角館」「水車館」「迷路館」「人形館」「時計館」くらいまで読んでいたと思う。この度、35年ぶりくらいに再読することになったのは、奥様が読みたいと言って図書館で借りてきたからなのである。ちなみに、古い作品なのですぐに借りられるかと思いきや、予約で50番待ちであった。奥付を見ると、オリジナルが50刷、改訂版が2023年で97刷というから凄まじい。人気あるんだなぁ。

 

読み始めたら犯人を思い出してしまうかもしれない、などと心配をしていたが、登場人物が「エラリイ」とか「アガサ」とか呼び合っていること以外、完全に記憶から抜け落ちており、全くの杞憂であった。

 

孤島を舞台とした典型的なクローズドサークルミステリーである。

 

島の中の登場人物は7名。大分県O市にあるK**大学の推理小説研究会のメンバーである。本名は明かされず、「エラリイ」「カー」「アガサ」「ポウ」「ヴァン」「オルツィ」「ルルウ」という綽名で呼び合っている。

もちろん、古典ミステリーの作家たちだが、バロネス・オルツィとガストン・ルルウは知らなかった。調べてみたらガストン・ルルウは有名な「オペラ座の怪人」の作者だとか。無知で恥ずかしい限りである。一つでも著作を読み通したことがあるのはアガサ・クリスティくらいだなぁ。

 

この島はいわくつきで、半年前に中村青司という建築家とその妻、及び使用人の二人が何者かによって殺され、お屋敷が焼失するという事件が起こっている。容疑者は行方不明となっている庭師。そんな島に、推理小説研究会の7人は少々のスリルを求めて泊りにやってくるのである。やめとけばいいのに・・・

 

7人が泊まるのは、焼失したお屋敷とは別邸として建てられた十角形の館。天才だが少々変人だった中村青司が設計した少々偏執的な建物である。十角館は、10等分された10個の部屋に分かれており、玄関ホール、厨房、サニタリーを除く7部屋に、7人が寝泊まりする。

 

まあ、そこからもちろん殺人事件が起こり、クローズドサークルでおなじみの疑心暗鬼と犯人探しの展開になっていく。予定調和的ではあるが、やっぱりハラハラするし、この中に本当に犯人がいるのだろうか?という興味に引っ張られて読まされる。

 

本書の何が魅力といえば、やはり真相の鮮烈さだと思う。よくできたマジックのように、本質から注意を逸らされた挙句、きれいに騙される。さすが名作といわれるだけのことはあるなぁ。

 

その他でいうと、推理小説研究会のメンバーたちのやり取りも結構楽しめる。とくに自信家でちょっと偉そうなエラリイと、批判ばかりで孤立気味のカーの反目とか、必ずしも仲良しクラブではない人間関係とかも面白かった。また順番に館シリーズ読んでいこうかな。

 

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