課長風月

疲れたサラリーマンの憩いのひと時

読書「グレイラットの殺人」M・W・クレイヴン

ワシントン・ポーシリーズの四作目。最初から最後までまったく飽きることなく夢中で読んだ。やっぱりこのシリーズは最高に面白い。

カンブリア州で行われる首脳会談で、要人の送迎を担当するヘリコプター会社の社長が、売春宿で惨殺された。本件の捜査に協力することになったワシントン・ポーとティリー・ブラッドショーは、三年前に発生した謎の強盗事件との意外なつながりを発見する。

 

ワシントン・ポーシリーズも四作目まで来た。シリーズを追うごとにページ数が膨らんで行き、本書はなんと700ページ超。長く続いていくとこのあたりで中弛みしてもおかしくないと思うのだが、このシリーズにそんな心配は無用のようであった。

 

このシリーズ、冒頭はいつも犯罪の場面で始まるが、今回は最高に謎めいていて、しかもちょっと笑える。とある銀行の貸金庫で、強盗団が盗みを働いているのだが、6人いるチームは全員、歴代ジェームズ・ボンドのお面をつけているのである。「ティモシー・ダルトンショーン・コネリーの手下だが、ほかはダニエル・クレイグのところの者だった。」みたいな説明が淡々と行われる。結構緊迫した場面で、親玉と思われるショーン・コネリーの常軌を逸した行動に震え上がるのだが、恐怖と滑稽さがごちゃ混ぜになってなんとも言えない雰囲気になっているのである。

ポーたちが追っているヘリコプター会社の社長の殺人事件が、冒頭のジェームズ・ボンドたちとどう絡んでくるのか?に、まずは興味が掻き立てられる。

 

あと、もう一つ本書を読ませる「燃料」になっているのが、MI5の存在である。MI5というのはイギリス国内でのテロやスパイ活動に対抗するための情報機関で、アメリカのFBIのような組織らしい。今回MI5はカンブリア州の首脳会談を守ることが目的で、その中で起きた殺人事件を追うポーたちとはお互い協力しあう必要があるのだが、情報機関のプライドなのか、妙に情報を出し惜しみしたりして、なんだか憎たらしいのである。

しかし、我らがポーは反骨心の塊のような男なので、邪魔されるほど燃え上がり、案の定暴走を始めるのである笑。やっぱり、ポーはこうでなくっちゃ。

ネタバレを避けようと思うとあんまり書くことがないのでこの辺で終わりにするが、もちろんブラッドショーも大活躍するし、満足の一冊であった。

 

既に続編の「ボタニストの殺人」も購入済み。楽しみである。

 

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