課長風月

疲れたサラリーマンの憩いのひと時

読書「ある閉ざされた雪の山荘で」東野圭吾

東野圭吾さんの長編ミステリー。うちの奥様が、Youtubeでおすすめされていたので読みたいと図書館で借りてきたので、便乗して読んでみた。一言でいうとよくできたミステリー。読みやすく面白かった。

 

※一応核心部分のネタバレはしないように注意して書きましたが、若干内容には触れますので未読の方はご注意ください。

乗鞍高原にあるペンション・四季に、7人の役者が到着する。彼らは演出家の東郷に呼ばれてやってきたが、なぜかそこには本人がいない。そこに届いた手紙によると、記録的大雪で外に出られなくなり、電話も通じないという設定で、7人で考えて4日間の推理劇を作りだしてほしいという指示が書いてあった。外部の人間と接触を持ったらオーディション合格結果を取り消すという条件のもと、7人はしぶしぶ劇の内容を考え始める。

 

ミステリーの世界ではお馴染みの、いわゆるクローズド・サークルものではあるが、ユニークなのは実際には大雪もなく電話も通じること。あくまで芝居の設定なのである。当然、芝居として殺人事件も起こるのだが、あることをきっかけにこれが芝居なのか、本物の殺人なのかわからなくなる。電話して確かめようと思えばできるのだが、確信はなく、オーディション合格を取り消されたくないので外部への連絡もできない。実に巧妙にできている。

 

これ以上ストーリーには触れないが、個人的に好きなのが探偵役の久我和幸。彼は芝居もうまく頭脳明晰なのだが、独白パートでは周りの面々を容赦なく毒舌でぶった切る。現代の常識で見ると炎上しそうなことも言っているのだが、文章のリズムが良いせいか、妙に小気味よい。そのくせ外面はよさそうで、しゃべる時の言葉遣いは非常に丁寧。このギャップの面白さが作品のスパイスになっている。

 

解決はスッキリで後味もよく、気楽に楽しめる娯楽作。一つ前に読んだ本(河崎秋子「絞め殺しの樹」)がとっても重たかったので、気分転換になってよかった。